【椎名誠】初心者におすすめの本 5選

この記事で解決出来るお悩み
  • 椎名誠さんってどんな人?
  • どんな人におすすめですか?
  • どれから読めばいいのかわかりません
今日は作家、椎名誠さんのおすすめ本を5冊紹介します。
1冊も椎名さんの作品を読んだことがない方、どれから読めば良いか迷っている方向けに選んでみました。

この記事を最後までお読みいただければ、読んでみたい本が見つかるかもしれません。

椎名誠さんてどんな人?

椎名誠(しいなまこと)さんは日本の作家、エッセイスト、写真家、映画監督です。

東京都世田谷区三軒茶屋に生まれ、小学校から中学校までを千葉で過ごします。

中学入学前に父親が死去。「父親が死んだらグレなければならない」という使命感の元不良になります。

高校卒業後は写真の学校や脚本の学校を転々とし、流通業界の専門誌を作っている会社に入社。
その後「さらば国分寺書店のオババ」でエッセイストとしてデビューします。

椎名さんの文体は「昭和軽薄体」、「スーパーエッセイ」と呼ばれ親しまれています。なお、この場合のスーパーは「超」という意味ではなく、高級品を置いているデパートとは違い、庶民的なスーパーから取ったものだそうです。
流通業界で働いていた椎名さんらしい命名ですね。

デビュー後はフリーランスになり、私小説、SF小説、エッセイ、ルポルタージュ、写真集など多くの作品を世に送り出しました。

調べてみたところ出版されている本は200冊を超えていました。

こんな人におすすめ

こんな人におすすめ
  • 昭和が懐かしい人
  • 男同士でわいわいがやがややるのが好きな人
  • 大きな声では言えないが自分はちょっと適当だという人

椎名さんのエッセイは、基本的には男同士でお酒を飲んでワイワイやっている話が多いです。
お酒が入ったからといって色恋の話になるとか、お姉ちゃんのいるお店に行って好き勝手にやるとか、そういう展開にはあまりならないところが好ましく、椎名さんの作品の特色と言えます。

おすすめ本

それではおすすめの本を紹介します。
自分だったら、一度も読んだことがない人にはまずこの本を進めると思う5タイトルです。

上から順に読んでいくのがおすすめです。

哀愁の町に霧が降るのだ

「待ってろよ、酒持ってくるからな」
彼はコタツにもぐって相変わらず「飲みたいよオー、もうちょっとだけ飲みたいよオー」と手足を震わせてうめているイサオと沢野にそう言った。
そうしておれたちは外に出た。
「大和屋からもらってこようぜ」
と、木村は小さな声で言った。もらってくるというのは盗んでくる、ということである。


さて、これから書く話はちょっとした本格的ドロボーの話である。

一言で言うと
これぞ青春。これぞ昭和。
椎名誠さんの青春時代を綴ったエッセイ本。このシリーズは哀愁編と呼ばれ、「哀愁の町に~」を第一部として、「新橋烏森口青春篇」「銀座のカラス」と続きます。

第一部は「克美荘」を舞台とした、どたばたな共同生活が中心に描かれています。
日当たりの悪い狭い部屋で、なんとかお酒を手に入れようと躍起になり、男同士ワイワイと暮らす様は、どこか羨ましくもあります。

昭和後期の空気がよく伝わってくる作品です。

わしらは怪しい探検隊

「東日本何でもケトばす会」とはいかなる会であるか、というと、会員の何名かに肉体的金銭的余裕ができ、気圧配置も安定して、空を見上げたときの気分もなかなかよい、という時期を見つけては、みんなでエイヤッという具合に日本のさまざまな離れ島にでかけてしまう、ということを主なる業務としているのである。

一言で言うと
男同士でキャンプ。ただそれだけで最高。
椎名誠さんとその仲間たちが各地へ旅した珍道中を描いたエッセイで、キャンプブームの火付け役になった作品です。
その後「怪しい探検隊」は大変な人気となりシリーズ化され、35年に渡り、23作品が書かれています。

1冊目は1969年から1976年ぐらいまでの出来事が書かれており、その中でも三重県の神島でのことがメインに描かれています。

時間軸としては「哀愁の町に霧が降るのだ」の直後あたりとなっているため、続けて読むと登場人物がよくわかります。

椎名さん自身も、「書いていて一番楽しかったシリーズだった」と言っており、自由気ままなどたばた感がクセになります。

アド・バード

「そうしたらね、夢は見ないけれど、ねむれないときに電気ヒツジのことを考えるんだそうだよ。笑ってしまうじゃないか。電気ヒツジといったらタルモネのことだろう。むかしスーパーで売ってたアブラで太る豚だ」

一言で言うと
作中で立証される一つの生態系と世界観。

何もかも分解して土に変えてしまう科学合成虫ヒゾムシ、鉄を食いつくすワナナキ、触手を持った動く絨毯のような赤舌、そして鳥文字を作ったり人語を話す広告用の鳥アド・バードなど、架空の生き物が存在するかのような説得力を持って描かれています。
安藤マサルとその弟の菊丸が、途中出会ったキンジョーという名のアンドロイドと共に、行方不明となった父親を捜すためにマザーK市を目指す物語です。

この作品は第11回日本SF大賞を受賞しました。
広告が過剰になり、広告で世の中が汚染された世界が舞台となっています。
連載されていたのはバブルの時代。広告競争が激しかったことをバックグラウンドとしているそうです。
生態系描写が細かく単調な部分もありますが、椎名さんの文体はそのままなので、読みやすい作品です。

さらば国分寺書店のオババ

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不思議なもので、人間というものは自分の生活にとってそんなに深い関係があるわけでもないのに、そこに黙って存在していれば安心し、なにかの都合で急になくなってしまった、ということになると、その空虚感は思いがけないほど大きなものになるらしいのだ。

一言で言うと
日頃のうっ憤、大爆発。怒っていても愛がある。
椎名さんのデビュー作となったエッセイです。

まだ粗削りな部分はあるものの、昭和軽薄体はこの頃から健在で読みやすいです。(昭和軽薄体という名前は椎名さん自身がつけたそうですが)
「コームイン」や「制服」「国分寺書店のオババ」に対する怒りや妬みをベースに展開していきますが、ただの悪口合戦で終わらないのが良いところ。

1冊完結であり、ページ数も多くないのでまず読んでみたいという方におすすめです。

岳物語

親というのはいつまでも子供の面倒を見ているような気になっているけれど、実際には子供は思いがけないほど早く自分の世界をつくり出していってあっという間に親ばなれしてしまうものだ、というのが野田さんの考えだった。

一言で言うと
子供って、知らない間に大人になっちゃうんだよなぁ、という本。
椎名さんの息子さん「岳」くんとの交流を描いた私小説です。

最初は手を繋いで歩いてくれていた息子がだんだんと自立して、知らない間に興味があることを見つけてどんどん進んでいってしまう様子が親の目線で描かれています。

「子供が小さい頃の時間というのは、子供自身にとってももちろん大切だけれど、親にとって本当に何物にも代えがたい時間なんだよ」と言ったのは私の父でしたが、そんな言葉を思い出させてくれる一冊でした。

まとめ

今回は椎名さんのおすすめ本を5冊紹介しました。
200冊を超える作品も随時読み進めているので、ある程度まとまったらご紹介しますね。